江戸前の仕事 [作品(瓦のこと)]
屋根が完成しました
よくわからん写真が下手
それでは、ど~ん
「関東8分通じ」またの名を「江戸棟」といいます。
どうしてこう呼ぶの?話せば長くなりますが私が若かりし頃、
年配の老瓦葺き師のお話です。今ではベタ積みが主流だが・・
俺が若け~ぇ頃は、土葺きで棟は目地積みだったのよ
それも、うちら関東じゃ~関西のように、ちまちま目地を空けるんじゃなく
ビシッと目地を切るんだ!これが関東流だ!←自分勝手
私 「親方?ビシッとと言っても何分くらいですか?」と尋ねると、
ばかやろう!昔から目地は8分ってきまってるんだよ~!
建物の大きさにもよるけどな!←ん??
私 「親方?建物の大きさは8分には関係ないと思うのですが?」
大ばかやろう!俺の目で8分だ!←超自分勝手
その時は、理解出来なかった私も、数年が過ぎ、昔の建物をいろいろ
見ているうちに、何となく自分なりに、あの時の親方の言っていた意味が
理解できるようになりました。確かに関東地方の昔の宿場町などでは、
大きく目地を切った棟が見られます。←ほんと少なくなりましたが・・・
本当に上手に積んだ棟からは、大目地から「粋」を感じ取れました
さて、話を元にもどして、棟を積みましょう
このように工事を進めていきました。
問題は、一番上にのる冠瓦です。かつては、関東にも江戸箱とか
江戸冠なるものがあったようですが、いまいち、形が統一されていないので今回は、京箱を使う事にしました。
この京箱を使うにあたって、京都、奈良のお友達にアドバイスをいただきました。ありがとうございました。
京箱
ここの所が、多少出てもいいと、お友達は、アドバイスしてくださったのですが?うちら江戸っ子としては、ちょっと、ここが出ては、「野暮」
と感じたお洒落な屋根さんは、
↑おいおい、いつから江戸っ子になったんだYO
天熨斗に1寸紐(紐が大きい)を使う事にしました。
そして、京箱がしっかりするようにガラを入れなさいと教わったので
見えない所にもお洒落をするのが江戸っ子なので、厚熨斗を細く切って使用しました。
完成
これが、「江戸棟」です。
下から見ると、この目地(空間)が、はっきり見えます。
瓦の1段1段の線より目地の1本1本の方がむしろ目立ちます。
よって、私は、瓦葺き職人ではなく、空気葺き職人と言う事になります(笑)
目地の方が目立つということは、瓦の重さを感じないと言う事で、
これぞ、江戸っ子の好む「粋」という事かな?と、私は、思います。
この棟、誰か挑戦!してくださ~い!(特に関東地方の方)お願~い!
もし?蔵だったら、刻み袖を付けて、鶴亀巴とか、にすれば、逆に重厚感も出るし、あとは?、・・・・いろいろ考えるだけで楽しいですね♪
今回は、住宅ということで、普通の袖瓦に無地巴、これでスッキリ感がでました。無地巴に影盛りだって、妙にお洒落でしょ!
この大きな破風板に、普通の袖瓦だから、逆にスッキリしました。
ここで、スッキリ型の鬼瓦(海津)などを付けるとスッキリではなく
貧弱に見えてしまいます。
あっ、そうそう、昨年、目地ゴテが屋根屋の教科書から削除された
そうですね。ますます、私のような仕事をする職人が減ってしまいますw
そこで危機感を感じた私お洒落な屋根さんは、私のブログを見て下さった人だけに、この、「江戸棟」のワンポイントレッスンを特別公開します。
(普段は、企業秘密なので絶対教えたくないのですが・・・)
まず、この棟に挑戦しようと思っている人は、同目地・同ちり・同熨斗勾配という事は、判っている事と思います。
②③④⑤の目地は同目地ですが、①の目地は明らかに狭いでしょ
ここがポイントです。屋根は下から見るものです。
桟瓦をパックリ口を空けておいて、屋根は下から見るもんだ~ぁ!
などと言っている輩もおりますが・・・(笑)次元が違います。
それでは、そーっと下がって見ましょう
あ~ら不思議
ほ~ら、①のところがだんだん空いてきたでしょ?
これで屋根の下にいけば、もうちょっと空いて見えます。
そうです。肌熨斗の勾配が強いのでのぞかれてしまいます。
ここの所を、同目地にしてしまうとまぬけな仕上がりになっちゃうよ!
気を付けてね♪以上ワンポイントレッスンでした~ぁ
そんな事より、百年大工研修生諸君!!
早く下屋の野地を仕上げてくれぇ~っ!
お洒落な屋根さんの気合が抜けてしまいますよ(笑)